おいしいらしい名古屋市の水道水

水道水になるまで

名古屋市の水道水を略して名水と呼ぶのは有名な話ですね。

水循環の流れの中で水道水はどのように誕生するのでしょうか。 川を流れる水を使っていることは誰でも予想できると思いますが、年中一定の水量 の川はそうありませんし水源としてそこから毎日大量の水を引っ張ったらどこかで 水不足になる地域も発生してしまう可能性があります。 雨の少ない季節には川の流れも細くなるし、安定して供給されないと困るのが水源、 そして市民の皆様にお届けされる水道水です。 なのでただ川から引き込むだけでは無計画すぎで、水不足で節水をしなければなら なくなったりと不便な生活を強いることになるかも知れません。 それを解決する策としてはダムの建設が有力で、大河を流れる水流や天の恵みの雨を 貯めて下流の水量を調節してやるのです。 雨の多発するシーズンにストックを用意し、降雨量の少ないシーズンにそのストック を放出することで年間を通してほぼ一定の水量を実現させるのです。 ダム無しでは水源確保も難しく、新たに水利権が欲しければ新規のダムを建設 しなければならないほど効果も高いプランとなっています。 ちなみに名古屋市の水道水は木曽川自流だけで充分だった期間が長かったようですが、 現在はそれだけでは足りなくなって複数の水源を利用している状況です。 さらに今後はもっと安定供給するためにと新たな水源開発も積極的に行っている ほどですので、各家庭でいつでもおいしい水が手に入るようにすることがどれだけ 大変なことか、その苦労がわかるでしょう。 水源からは取水口で原水を取り入れ、大きなゴミや砂などを除去してから浄水場 へとポンプでたくさん送り届けます。 この段階で取り除くのは大き目のゴミだけで、本格的な浄水はこの後の工程で順次 行われていくのでまだ飲むのは危険ですが、川の水を飲むことを恐れない勇敢な 少年ならちょっとくらい口にしても命に別状はありません。 都会っ子の名古屋市民だと耐性も低いかもしれませんが、美しい川が流れていて 山でカブト虫やクワガタを獲るのが夏の楽しみなんてのどかな田舎で育った少女なら、 川の水は名古屋駅の地下街で売ってるミネラルウォーターよりも飲みやすいドリンク だと言えるかもしれなさそうですしね。 取水口から浄水場に送られてきた原水は着水井で順番待ちをします。 この先で繰り広げられる浄化作業が許容量を越えないように、一旦ここでストップ させて行列が出来ないように調整をしながら次の沈でん池へ進みます。 ここでは薬品を使って濁りを除去しますが、人体に悪影響を及ぼす薬品はあまり使用 されませんので心配はご無用です。 薬品の効力により濁りは底へと沈み、この先には進むことができなくなります。 次は塩素剤を投入して水を消毒しますが、多からず少なからずの絶妙なバランスが 名水の秘訣になっているのでかなりの見所でしょう。 消毒が済んだらろ過池に進み、ここまでに取り除けなかった小さな濁りを回収して ようやく完成品の水道水に仕上げます。 しぶとく残っている濁りはかなり小さなものでしょうから、砂の層を通すことで それらを完全に取り除いてやります。 これで完了、配水池に貯水されてあとは出荷を待つだけです。 配水場からポンプであらゆる蛇口までお届けされますが、届け先は学校や病院、 一戸建て住宅にマンション、美容院や老人ホームなど多岐に渡ります。 水道局と契約しているならどんな場所でも僻地でも、蛇口のある限りおいしい名水 を24時間365日いつでも誰でも受け取ることができるのです。 ここまで解説していて名古屋の繁華街、錦のキャバクラなどの水商売でもこの名水 を使っているのだなと思うと、やはり名古屋市のクラブやゲイバーで飲む水割りは 大阪のキタのそれよりも数段おいしいそうだな、と思いました。