おいしいらしい名古屋市の水道水

名水の要件

おいしい名水と呼ばれるための厳しい条件が設定されています。

名水とは「名古屋の水道水」の略称で性状について5つの要件が設けられています。 基準となるものが何も無しで「おいしい」を追求するのでは、向かうべき方向が 定まらないのでこのような指標が必要になったのでしょう。 ではどのような要件かというと、一番大きいのはミネラルがどれほど含まれているか を表す水硬度の数値です。 カルシウムとマグネシウムが水中に何グラム含有されているかで味が決まるので、 その数値が大きな意味を持つのです。 名水は1リットルあたり10~100ミリグラムが指標とされており、これは 厚生労働省が定めたおいしい水の要件と同一の数値に設定されました。 含有量が少ないと淡白な舌触りになり、多すぎると濃厚でしつこい感触になるので この範囲がちょうどいいだろうということです。 ですが人工的に大きく添加はしておらず、名水は木曽川の火山岩地質を流れている 水が元になっているので含有量は少なめで軟水に分類されています。 それでも充分この指標をクリアしていますし、魔法の言葉のようなミネラルを たっぷりと含んでいるのでおいしい水の土台はあったのでしょう。 嫌な臭いがしない、という指標もあります。 設定されている数値はかび臭物質が含まれない、1リットルあたり0ミリグラム とされているのでかなり厳しい条件になっています。 においの原因となるかび臭物質にはジェオスミンなどがありますが、名水には これらの物質は全く含まれていないのでいい匂いがするのです。 匂いだけでなくいやな味を感じない、というのもあります。 原因となるのは水有機物で、1リットルあたり0.5ミリグラム以下が指標とされて いますが0でないから甘いとは言えません。 水の汚れ具合に関わる項目ですが水有機物は様々な原因で混入してきますので、 完全に取り除くことは難しいのです。 生活排水や工場排水からも混入しますし、ダムの藻からも入り込んできます。 なので多少のことは仕方が無く、あまり多いと嫌が味がするのでなるべく低く抑えた 現実的な数値を設定しているのでしょう。 「うわぁ変な味がするな、なんか渋柿みたいで飲みにくいや」とはならないような 基準になっているので、心配したり敬遠することはありません。 塩素臭を不快に感じない、という指標もあります。 学校のプールのような塩素っぽい雰囲気は水道水にも付き物ですが、あまりに強い とみんながぶ飲みしたくはありません。 かと言って0にすることも出来ないのが塩素臭の難しいところでしょう。 実はこの塩素、水道法施行規則第17条によって蛇口での濃度が1リットルあたり 0.1グラム以上であることが定められています。 塩素には消毒効果があるためで、味に気を使うのも大切ですが清潔さを犠牲に してはいけませんよ、という理由で最低値もあるのです。 名水ではその値から上限を0.4ミリグラムの間とし、消毒の機能も損なわない 程度の指標としているのでさすがです。 その倍近くの水道水も全国にはありますので、なかなか絶妙な設定だと感心です。 残る最後の1つは濁りで、名水は濁度0を指標にしています。 河川を流れる水には土が含まれており、透明ではなく濁っています。 名古屋駅のトイレで手を洗うときに使う水も元々は川を流れていたのですが、 こちらは全く濁っていません。 水道水として使えるよう浄水処理を行っているからで、そこでどれだけ綺麗に しているかを表すのがこの数値になるでしょう。 もし錆びっぽい水が出てきたらそれは配管に問題ありで、名古屋市の水道水は 基本的にはほぼ透明です。